おちゃめな広告。 2003年
3月18日(火)

2002年10月10日の新聞各紙。
朝刊の一面で、田中耕一さんのノーベル賞受賞を報じるなか、
ある大手新聞にひとつの広告が掲載されました。

島津製作所の、しかもバイオ関係の広告。
いかにも田中さんの受賞に合わせたかのような、
あまりにタイミングのいい広告が、一部で話題を呼びました。

しかし、広告は記事と違って急には作れません。
また、全報道機関どころか、本人も予想していなかった受賞を
この新聞社だけが予測していたとも思えません。

たぶんこの新聞社は、掲載日を決めずに受注していた広告を
受賞の知らせを受けて差し替えることで、
話題づくりを狙ったのでしょう。

そう、この新聞社の広告局って、ときどきおちゃめなことをします。

なかでも、最高におちゃめだったのが、
1998年の3月6日の朝刊でした。

汚職によって、大蔵省のキャリア官僚が逮捕された事件
大々的に報じる紙面の片隅に…。


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人の心が建物を生かす。 2003年
2月9日(日)

仕事の関係で、おもしろいお店を見つけました。

東京・新宿区河田町にある「小笠原伯爵邸」。
http://www.ogasawaratei.com/
ここは、昭和2年に建てられた小笠原伯爵の邸宅
「旧小笠原邸」を利用したレストラン。

スパニッシュ様式の明るいデザイン。
隅々に施された非常にチャーミングな装飾。
「旧小笠原邸」は歴史的価値も非常に高く、
そこらへんにある陳腐な“邸宅風ハリボテ”ではない
「本物」ならではの質感を感じることができる数少ない建物です。

しかも、このレストランがおもしろいのは、
建物も土地も、いまも東京都の所有であること。

戦後、米軍に接収された「旧小笠原邸」を、東京都は
昭和27年に買い取り、児童相談所などとして利用してきました。
しかし、予算の問題からほとんど修復できずに昭和50年に閉鎖。
さらにずっと20年にわたって放置したため、
廃墟寸前まで朽ちていました。

せっかくの歴史ある美しい建物をどうにかしなければ---。

小笠原邸を救ったのが新しい「貸し付け制度」でした。
東京都はこの300坪の建物と1000坪の土地を、
月5万円という破格の家賃で民間に貸し出すことにします。

借り受ける業者は、この建物を営業に使用することができます。
しかし、条件となったのは建物の復元・修復費用の全額負担。
さらに貸し付けの期限は10年間。
せっかく修復しても、10年後には東京都に返さなければなりません。

はたして、そんな厳しい条件をのむ業者がいるだろうか---。
発案した学者たちも内心、不安だったといいます。

しかし「旧小笠原邸」はそれだけの価値のある建物でした。
熱意と理解ある業者が現れ、5億円以上もの費用を投じて
もとの姿を取り戻してみせたのです。

こうして「小笠原伯爵邸」は去年5月オープン。
いまでは知る人ぞ知る人気スポットとして
予約をとるのも苦労する状態だそうです。

いま、同潤会アパートをはじめ、多くの歴史的価値のある建物が
経済原理に屈して次々と姿を消していっています。

しかし、新しいものに飛びつくのではなく、
古き良きものの良さをじっくりと活かしていく。

「旧小笠原邸」は、そんな本当の豊かさの時代への
道しるべなのかもしれません。



































恥ずべき訴訟。 2003年
1月25日(土)

アメリカで先日、「肥満になったのはマクドナルドの責任」と
損害賠償を求めた集団訴訟が棄却(門前払い)されました。
「食べたのは本人の責任。誰も食べることを強制されてはいない」
という、ごく常識的な内容でした。

日本に当てはめるとさしずめ
「わんこそばを無理矢理食べさせられ、
お腹をこわしたのはお店の責任だ」と訴えるようなものでしょうか。

しかし、こんな愚かしい訴訟がまかり通るのがアメリカという国。
あの国では、弁護士が
「こういう訴訟を起こせば損害賠償が手に入りますよ」と
一般の人々を“そそのかして”まわるんだそうです。
弁護士にしてみれば、別に負けても弁護士費用は
ちゃんともらえる訳ですし、もし勝ったら莫大な成功報酬が
転がり込むという仕組みですから、
そりゃあ“そそのかし”にも熱が入ろうというもの。

しかし、最近の日本でも
本来“ひとを助ける”“ひとのために役立つ”はずの商売が、
“ひとが困ってるのにつけ込んでカネをむしり取る”ような商売に
変質してきているように見えるのが非常に気になります。


命の次に大事なもの。 2003年
1月20日(月)

以前、ある女性が発した言葉のなかで、
ずっと心に引っかかってるセリフがあります。

「命の次に大事なおカネを出すんだから…。」という一言。

たしかに貨幣経済が隅々まで行き渡ってしまった現代の日本は、
おカネがないと生きていけない状況になってしまっています。

でも、それでもおカネって“命の次に大事なもの”ですか?

私にとっては、おカネよりもプライドが大事です。
愛するひとが命よりも大事、というひともいるでしょうし、
子どもが大事、という母親もいることでしょう。

でも、命の次におカネが大事だ、と堂々と公言できる
このひとの心のなかが、私にはどうしても理解できないのです。
いったいこのひとはどういう人生を送ってきたのか。
なにが彼女をこういう結論に追いやったのか。

彼女の心象風景に思いをはせるとき、
その殺伐とした光景に背筋が凍る思いがします。

あなたは、命の次になにが大事ですか?


勲章をつけたシェフ。 2003年
1月14日(火)

“カタいひとが作った料理ってやっぱりカタいのね。
 食べてみてカタいの。
 それに対して、いろんな経験をしたひとの料理には
 そのなかにやさしさが入ってる。
 「やさしい」、って味が入ってるんだよね。”

“ムッシュ”の言葉です。

ムッシュとは、東京・日本橋のロイヤルパークホテル
総料理長・嶋村光夫さんのこと。
フランス農事勲章をはじめ多くの国から勲章を受け、
日本のフランス料理界の第一人者と言われています。

先日、その嶋村さんにお会いする機会がありました。

“自分の心っていうのは作った料理に、見るひとが見ると
 現れてくるんだなぁ。食べてみると、
 「ああ、このひとはすごいなぁ、お料理の中にロマンがある」
 とかね。だからいろんな分野の勉強をしなきゃ。
 たとえば絵を描くとか音楽を聴くとか、いろんな文化や芸術を
 取り入れていくとすばらしいお料理ができるんだなぁ。”

フランス料理界の第一人者、その言葉からイメージする
神経質さとは無縁の、おおらかでおしゃべり好きな好々爺。
嶋村さんの言葉は、新鮮な驚きの連続でした。

“この仕事は、料理を大好きになんなきャいけない。
 「好き」じゃ人間必ず飽きてしまう。「大好き」じゃなきゃ。
 自分の一生する仕事が「大好き」だと思ってやると
 それは必ず完遂できるわけね。”
“人間にはふたつの誕生日がある。
 ひとつは、この世にオギャーと生まれ出た日。
 もうひとつは、自分はこれで生きていくんだ、という目標が
 決まった日、これを第二の誕生日と言うんだ。
 僕はね、ひとさまに食べていただいて、感動を与えると
 いうことをひとつの目標にしているわけ。”

人生観も含め、一気にまくし立てること30分。
ひと通り話がすんだあと、ムッシュが私を見て言いました。

“あなた気に入った。僕の本をあげるからこっち来なさい。”

実は私は聞き上手。
ニコニコとうなずく姿が気に入ってもらえたようです。

連れて行かれた総料理長室で、
「勲章をつけたシェフ」という直筆サイン入りの著書とともに、
こんな言葉までいただきました。

“こんど、ボクの料理を食べに来なさい。”

日本のフランス料理界の第一人者にこう言ってもらえるとは。
「身に余る光栄」とはまさにこのことを言うのでしょう。

しかし。

どうやったらムッシュの料理を食べられるのか----。
なにしろムッシュは総料理長。「シェフの中のシェフ」なのです。
ロイヤルパークホテルにノコノコ行っても、
総料理長の料理など食べられるはずがありません。

しかしフランス料理界の第一人者との約束は重大。
果たさねばなりません。
ムッシュの部下にこっそり尋ねてみました。

「ムッシュの料理を食べられるのは、年に一回の
 “賞味会”しかないですね。今年は3月だったかな?
 たしかひとり3万か4万だっだと思いますけど…。」

…。(^◇^;)

身に余る光栄。
それは、「分不相応な光栄」だったのかもしれません。


























































これもあの“おじさん”の秘伝? 2002年
12月25日(水)

フライドチキンを買って帰り、食べてみたら
最後の一個の中身が真っ赤っかだった。(^〜^;)ムゥ

店に電話して「火が通ってなかったんだけど。」と言うと、
2回たらい回しした挙げ句、出てきた社員に
「そんなはずはない。」と一蹴されてしまった。
さすがにカチンときて「じゃあ実物を見せますからおいでください。」と
言うと、徒歩10分のところを40分後に社員がやってきた。

現物を見せるとその社員、やっぱり、という表情をしたかと思うと
「申し訳ありませんでした。あの電話のあと、バイトに尋ねたところ、
注文が殺到したため重量オーバーで釜に詰め込んでいたことが
わかりまして…。」と謝りはじめた。

ほぉ、なかなか誠意があるじゃないか…。
心の中で振り上げた拳の力が抜けていく。

「で、お詫びに代わりのチキンを、と思いましたが…」

いや、いまさらチキンはもうお腹いっぱい。

「…と思いまして、代わりにサラダとビスケット、
 さらにシャンメリーをお持ちしました。」

まあ、わざわざウチまで来てもらったんだし、
こっちは最初から見返りを要求するつもりなんかない。

「いえいえ、わざわざお越しいただいたんですから
 それだけで結構です。なにもいりませんから。」と言うと、
ほっとした表情でその社員は帰って行った。

パタンとしまったドアを見て、ふと考えた。

サラダとビスケットとクリスマス用シャンメリー…。
すでに店は閉店している時間。
それってもしかして、ただの残り物だったんじゃあ…。

もしそうだったとしたら、残り物をお詫びに持って来る
この大手チェーンの“誠意”っていったい…。(^〜^;)ムゥ