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とんでもボランティア。 2007年
8月 4日(土)



タリバンによる韓国人ボランティア拉致事件がなかなか解決しません。


今回の事件では、事実上の内戦状態が続くアフガニスタンに行った
韓国人ボランティア一行がキリスト教の団体であったということで、
その無謀さには韓国国内でも非難の声があがっているといいます。

宗教の名のもとに人が殺し合う現実を想像できなかった、という点で
彼らも“平和ボケ”だったのでしょう。


一概にボランティアと言っても、
本当に死を覚悟し、命をかけて現地の人々のために働く人々がいる一方で、
そんなことしてどうなるの、と首をかしげたくなるようなことをしている人々が
けっこういます。



たとえば日本にも。


自分たちで制作した“ファンタジー映像作品”なるものを、
アフガニスタンなどの子どもたちに見せて回る、という
ボランティア団体がいます。

ほかに現地でなにかをするわけではなさそうで、
ただ、行って紙芝居のようにテレビを見せておしまいのようです。

この団体、手伝い募集と称して一般の人々の参加を募り、
ツアーの参加費を徴収してアフガニスタンなどに連れて行っています。


ちなみに、この団体は今年6月にアフガニスタンでテロに巻き込まれ、
一般人のツアー参加者が重傷を負いました。

一人が全身打撲、右上腕部骨折、切り傷というかなりひどいけがで、
現地で応急の手術をしたあと緊急帰国。
大学病院の救命救急センターに運ばれ、3週間の絶対安静での治療を受けたとのこと。


このボランティア団体はウェブサイトで、この事件についてこう述べています。

“まず、最初に申し上げたいのは、皆の命が救われたことへの感謝の気持ちです。”

ツアー客が大けがをしたことに対する責任がみじんも感じられないところが
いかにも、といった感じでしょうか。


彼らがファンタジー作品を通して作り上げているのは、
難民の子どもたちの未来でしょうか。

それとも、自分たちの“雇用”でしょうか。



また、カンボジアで原爆の悲惨さを訴えようという人々もいます。


鉄筋コンクリート4階建ての建物を建て、交流施設として使いながら
日本に落とされた原爆の悲惨さを訴える展示をするというのです。


しかし、ついこないだまでポル・ポト派による大虐殺があり、
身内が殺された人々がたくさんいるカンボジアで、
日本の原爆の悲惨さを訴えてどうしようというのでしょうか。



それはまるで、ついこないだ事故で家族を失い、悲嘆にくれるお宅に押しかけ、
とうとうと自分が体験した昔の事故の悲惨さを説くようなもの。


“あなたたちも大変だったけど、私たちの方がもっと悲惨だったのよ。”

とでも言いたいのでしょうか。


この団体も“建設ボランティア”なるツアー客を募集していたようですが、
日程を見ると「レンガ積み体験」なるボランティア活動はほんの数時間。

そんな7泊8日のツアーに費やすカネがあったら、現地の人々を
建設作業員として雇うことで雇用を創出し、カンボジア経済に貢献した方が
まだましだったような気がします。


こんな、どこかズレてるボランティア、
探せばまだまだいくらでもあることでしょうね。



この文章へのリンク
http://www.totteoki.jp/negoto/negoto2007su.htm#20070804


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日本一うまい店。 2007年
7月 31日(火)



発売はもうだいぶ前になってしまいましたが、創刊200号となる
今月号の「dancyu」は、その“衰え”を感じさせるのにじゅうぶんでした。




「日本一うまい店集めました」

そう大風呂敷を広げたはいいのですが、実際に載っているのは
親子丼だオムライスだナムルだたこ焼きだ築地の玉子焼きだと
B級メニューかサイドメニューのオンパレード。



フレンチの日本一とか、寿司の日本一とか、
王道の料理の頂点を期待して買っても、
そんな情報どこにも載っていないのです。


これじゃあ読者を騙したと言われてもしかたないでしょう。



なかでもみっともなかったのは、
広島と名古屋が一緒に載ったページでした。

単に、地域的なバランスを取るためだけなのが丸見えの
おざなりな二軒が選ばれていました。


広島から選ばれたのは「穴子飯弁当」。


名古屋からは「ひつまぶし」。


あんた、ちゃんと調べてないでしょ?
と突っ込まれてもしかたないようなあまりにも安易な選定です。



とくに広島のはしょせん駅弁です、駅弁。



広島の料理のなかで日本一と呼べるものは、駅弁しかないというのです。


そもそも、穴子飯など広島のローカルメニュー。
仮にそれが広島一であったとしても、日本一と呼べるものではないはずです。


そりゃあいくらなんでも広島を馬鹿にしてはいませんか、という感じです。



あまりにも安直で、企画倒れになってしまった200号記念。

「dancyu」はもう、終わってしまったのでしょうか。



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http://www.totteoki.jp/negoto/negoto2007su.htm#20070731


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大いなるバカ建築。 2007年
7月 27日(金)




またひとつ、醜悪なビルディングが建とうとしています。




西新宿に出現したこのビル。

斜めに開きながら立ち上がっていくシルエットと、
紙テープを全身に巻き付けたかのような姿が、
見る者に大きな不安と強烈な不快感を与えます。


まるでフランケンシュタインの棺桶。




よく見ると、ガラスの設置にも苦労している様子です。

建築中からこれでは、のちのメンテナンスはかなり難しいでしょう。


しかもこれ、まだ建築中で現在は半分とのこと。




こんな醜悪なものが西新宿に出現すると思うと目まいがします。


建築とは、建築家のおもちゃでもなく、
金持ちの道楽でどんなことをしてもいい、という
性格のものではないはずです。


建築とは、一個のモノであると同時に、街を構成する重要なパーツ。

街という、ひとつの生き物を構成する細胞のようなものです。





これではガン細胞です。




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http://www.totteoki.jp/negoto/negoto2007su.htm#20070727


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謀略のデザインか。 2007年
7月 25日(水)




最近、気になっていることがあります。






写真の、宝塚出身の女優さんの唇が気になる…ということではありません。


この広告の、「金麦」というビールもどきの商品が気になるのです。


サントリーから発売されたこの「金麦」、飲んでみたのですが
味がいいとは正直、思いません。
「新ジャンル」とかなんとか言っても、しょせんビールの味ではありません。


では、なぜ気になるのか。


それは、デザイン。





上の写真を、たぶんかなりの人が見間違えたと思いますが、
ここに写っているのは「金麦」ではありません。

アサヒビールから発売されている「プライムタイム」というビール。
値札でわかるように、最近はやりの“ちょっと贅沢な”プレミアムビールです。


この商品に、「金麦」のデザインが酷似しているように見えるのです。





先に発売されたのは「プライムタイム」のほう。


快進撃が続くサントリーの「プレミアムモルツ」を追撃すべく発売された商品でした。


私にしてみれば、その追撃される側のサントリーが、
アサヒの新製品に酷似した商品を出したことに意図的なものを感じるのです。


もっと言えば、「悪意」すら感じてしまうのです。




商品パッケージの色・デザインというものは、その商品が知られれば知られるほど
同類の商品全体のイメージをも規定してしまいます。

たとえば、牛乳のパッケージは

ウーロン茶のボトルはこげ茶色

意外な例では、とんこつラーメンのお店の看板は黄色

よく知られた商品の色とデザインが、同じジャンルの商品の代表として
認識されるようになると、他のメーカーの商品も似た色使い・似たデザインに
せざるを得なくなってしまうのです。


しかし、これは逆に言えば、よく似たデザインのふたつの商品があった場合、
有名なほうの商品イメージに、もう一方の商品までもが引きずられてしまう
可能性があるということ。






アサヒとしては「紺色のベースに金色の文字」という組み合わせを、
高級感あふれるビールのデザインとして定着させたかったに違いありません。


ところが、酷似する「金麦」はいわゆる“脱法酒”。
350mlで135円、500mlで190円といった安い酒です。



いま、どちらの商品のほうが知られているかは、言うまでもないでしょう。



もしサントリーが「プライムタイム」のイメージを崩し、
自社の「プレミアムモルツ」を守るために
「金麦」のデザインを酷似させたのだとしたら…。


つまり、“プライムタイムつぶし”のために「金麦」が投入され、
大量の広告が打たれ続けているのだとしたら…。



商売の世界というものは、ほんとうに仁義なき戦いだな、と思います。


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http://www.totteoki.jp/negoto/negoto2007su.htm#20070725


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ニューコンミート。 2007年
7月 21日(土)



最近、一斉に名前が変わった缶詰製品があります。




ニューコンミート。



この缶詰、ついこないだまで
すべてのメーカーの同様の製品が
「ニューコンビーフ」という名前でした。




牛肉の塩漬けである「コンビーフ」と見た目は同じなのですが、
原料は馬肉が主なので「ニュー」をつけてこれまで売られてきたのです。




実は、競馬場を走るサラブレッドの多くの末路がこの缶詰です。




しかし、馬肉が主原料なのに「ビーフ」とはいかがなものか、と
ようやく最近になって名称があらためられたのでしょう。






しかし、馬肉がメインなのに「ビーフ」と称して売っていたこの製品。

「ミートホープ」社の牛肉偽装問題と何が違うというのでしょうか。



偽装だ嘘つきだ、と一社を悪の権化のように責めたてるのもいいですが、
その前に日本の食品なんて、ついこないだまでみんな
こんなのばっかりだったことをまずは知るべきではないでしょうか。



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http://www.totteoki.jp/negoto/negoto2007su.htm#20070721


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客を笑い物にする店。 2007年
7月 17日(火)



ねぇねぇ、あのお客、餃子をソースで食べちゃったよぉ!


店いっぱいに声が響きます。

高田馬場のちゃんぽん屋。7月17日の昼過ぎのことでした。

声を発しているのはバイトの店員の女です。

聞いているのは厨房に立つ、これまたバイトらしき男です。




その瞬間を、私も見ていました。

私の左のカウンターに座っていた外国人。
ちょっとインテリ風の白人です。

餃子とちゃんぽんのセットを頼み、出てきた餃子を前に
「餃子のたれ」「ソース」の瓶をしばらく見比べます。

そして彼が皿に注いだのは「ソース」でした。
それに「ラー油」を加えた彼は、餃子を浸して口に入れます。


私も一瞬、息をのみました。


しかし、平然とそのまま食べ続ける彼の表情にほっとし、
声をかけなくてよかったと心から思いました。


その時に、上のバイトの女の声です。


私ってやさしいから、言ってあげようと思ったんだけどねぇ。


女は、笑いながらさらに話を続けます。

たぶん本人にはわからないと思っているのでしょう。


ウソつけ。喜んで見てたくせに。


そう茶化す男の店員は、笑いながら、しゃべりながら
ちゃんぽんを作っています。



この外国人の客は、このチェーンの食事券を握りしめていましたから、
たぶん早稲田の留学生でしょう。

箸の使い方が慣れているところからしても、
たぶん彼は日本語がわかるし、ひらがなカタカナだって
読めるのかもしれません。

たぶん、単に醤油よりもソースが好きだから餃子につけただけなのでしょう。


それなのに、その客の聞こえるところで


あのお客、ソースで餃子を食べちゃったよぉ!


と、店員が大声で話し、客を笑い物にするこのちゃんぽんの店


この女はもとより、この会社すべてに不信と怒りを覚えました。


このあと出てきた私のちゃんぽんがすごくまずく感じられたのは
気のせいではなく、こんな連中が作っているからなのでしょう。





こんなものはエサです。


こんな会社はつぶれてしまえばいいのです。


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http://www.totteoki.jp/negoto/negoto2007su.htm#20070717


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またまたうさぎ。 2007年
7月 5日(木)



代々木公園にまたいました。



うさぎ。






どうも前回のとは別のうさぎのようです。



この公園で餌付けされているようで、
ニンジンのかけららしきものがうさぎのまわりにありました。

今回はムービーも撮ってしまいました。
ちょっと下の画像(↓)をクリックしてみてください。
かわいいですから。






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http://www.totteoki.jp/negoto/negoto2007su.htm#20070705


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気になる夕焼け。 2007年
6月 26日(火)



先週の土曜日(23日)の夕焼けです。




この夕焼け、いまになってもなぜか気になってしょうがありません。


不思議な赤さもそうですが、空がいくつにも割れてるように見えます。平行に。


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http://www.totteoki.jp/negoto/negoto2007su.htm#20070626


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たべんば。 2007年
6月 17日(日)



築地で見つけました。



【たべんば】
北部九州の言葉で、「食べなければ(いけない)」という意味です。

用法例:
「この魚の煮たの、うもーなか(おいしくない)。」
「贅沢ば言わんで、食べんば。」


こんな思いっきり懐かしい言葉に、築地で会えるとは。

で、当然九州の料理が食べられるかと思いきや、
この店、ネットで調べると「中国風居酒屋」なんだそうです。

“北京の有名ホテルの料理長経験者が腕をふるう店”で、
「四川風スペアリブ炒め」「焼餃子」「黒酢酢豚」があるとか。

しかしその一方で、「馬レバ刺し」「いか一夜干し焼」があったりします。

さらにネットで調べてみると「岡山の地酒が飲める店」だったり、
別のサイトでは「しらす丼」が載っていたりします。


最近、経営が変わったのでしょうか。
それともオーナーそのままでの業態変換でしょうか。


不思議な店です。



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http://www.totteoki.jp/negoto/negoto2007su.htm#20070617


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雲の展覧会。 2007年
6月 15日(金)



きょうの空はまるで、雲の展覧会のようでした。






そのなかで気に入ったのが下の写真の雲。





この雲の姿に、エイヒレを想像してしまうのは私だけでしょうか。



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http://www.totteoki.jp/negoto/negoto2007su.htm#20070615


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“新発見”は疑うべし。 2007年
6月 14日(木)


日本人の自尊心は、米国人や中国人のそれに劣らず強い、
ということが新しい形式のテストで証明されたそうです。

「日本人の自尊心の高さ、米国人や中国人との差なし」
                     YOMIURI ONLINE 6/14

    つまり、東大教授らが開発した“新しい心理テスト”を使ってみたら、
    日本人も立派に自尊心を持っているということが証明できた、
    というのです。

    ただ…。

質問に対して回答する従来形式のテストも同時に行ったところ、
自己主張の強さなどが関係して米国、中国、日本の順番に
自尊心が高いという結果が出たが、新しいテストでは3者に
差は出なかった。
(上記記事より引用)



…それって単に、新しいテストの効果を疑わせるだけではないでしょうか。


この新テストでわかったのは、少なくとも「どの国民にも自尊心はある」と
いう事実だけ。

しかし従来のテストと新しいテストの結果があまりにも乖離しているのでは、
新しい形式のテストの信憑性に疑いが持たれてもしかたありません。

「差が出ないテストはテストではない」からです。



こういうニュースを見ていつも思うのですが、学者が新聞に対して発表する
“×□には新たに○△ということがわかった”などという「新発見」は、
けっこういいかげんな実験結果を基にしたものであったり、言葉遊びならぬ
“データ遊び”であったり、さらには単なる売名行為にすぎない場合が
とっても多いような気がします

また、新聞記者という連中は、単に自分がスクープしたり話題になったりすれば
いいのですから、学者の言うことを疑いもせず、面白おかしく受け売りで
書くだけです。



以前、こういうものもありました。


「緑茶1日5杯で危険低下 脳梗塞死亡で差」


東北大学が宮城県で行った疫学調査で、緑茶を一日5杯以上
飲むグループは脳梗塞で死亡するリスクが男性42%、女性62%も
低下することがわかった、というのです。


栗山准教授は「予想以上の差があり驚く結果だ。緑茶に含まれる
カテキンなどが体に良い影響を与えている可能性がある」と話している。


はぁ?って感じです。

今回の疫学調査は単に、人為的な、しかも事後のグループ分けによって
「緑茶を一日5杯以上飲む人」に分類された人々が、結果として
「脳梗塞にかかる人が少なかった」という事実を示しているに過ぎません。

この調査のどこにも、カテキンの効果を示す証拠などないのです。


それよりも本来、重視しなければならないのは、
「緑茶を一日5杯以上飲む人」という分類によって生まれる類型が
どんなものなのかです。


つまり、緑茶を一日5杯以上飲む人の食生活は、和食が中心。


これは、子どもでもわかる連関です。


また、緑茶を一日5杯以上飲む、ということは
それだけ水分の摂取量が多いことを示しています。


つまりこの疫学調査は、
「食生活の違いによって脳梗塞にかかるリスクが違う」
または
「水分摂取量の多寡が脳梗塞にかかるリスクを左右する」
ということを示している可能性のほうがはるかに高いのです。



そりゃあデータの解釈は自由ですが、学者である以上、
単なる話題作りや売名行為のための分析と受け取られかねない
発表だけはやめていただきたいものです。




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http://www.totteoki.jp/negoto/negoto2007su.htm#20070614


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まるでトンボ。 2007年
6月 12日(火)



きょうの夕方、原宿の空に変なものを見つけました。

一瞬、トンボのように見えます。




ヘリコプターのようですが、なにか光っています。





3倍ズームを目一杯使い、さらに画像を切り取って拡大してみました。

どうやら電光掲示のよう。
ヘリの下の部分にくくり付けてあるのでしょう。

3/30? いや、6/30でしょうか。





「ダイハード」と書いてあるようです。


どうやらこれは、6/30公開予定の「ダイハード4.0」の宣伝。


しかしまあ、広告屋さんというのはいろいろと考えるものですねぇ。


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http://www.totteoki.jp/negoto/negoto2007su.htm#20070612


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助けられなかった。 2007年
6月 11日(月)




いきなりの電話でした。


それは、高校時代の同級生からのもの。
同じブラスバンド部に所属し、部長をやっていた男です。


「Mに電話したら、お前が近所に越してきたって聞いたんで…。」


高校時代、彼と私は別に仲がよかったわけではありませんでした。

しかしたまたま同じ大学に入り、まだ知り合いの少ない東京で
寂しさをまぎらすように何度か会ったことはありました。

当時の彼の下宿は、神田川に面した木造アパート。
かぐや姫の「神田川」そのままの世界でした。

しかしその後、十数年にわたって会うことはありませんでした。


「お願いがあるんだけど、名義を貸してもらえないかな…。」


彼は大学を中退していました。


その後、ギャンブルの世界に飛び込んだと風の噂で聞きました。
一時期は羽振りが良さそうだった、とも。

また、 「タモリみたいになってやる。」と言っていたといいます。


電話口の彼が、意を決したように話しはじめます。


「実は勤め先をクビになって、いま住んでる部屋から出なきゃいけなくなった。
 で、次の仕事を探しに行くんだけど、見つかるまで家財道具をトランクルームに預けたい。
 代金はもちろん俺が払うから、近所に住んでるお前の名義で借りてくれないかな…。」


いきなりの話に戸惑いました。



これまでどんな仕事をしてきたのか。

どういう事情でクビにならざるをえなかったのか。

これからどんな仕事のあてがあるのか。

そして、本当に払っていけるのか…。


助けられるものなら助けてあげたいのは山々です。
しかし、聞きたいことが次々と出てきながらも、うまく口に出せません。



その様子を察したのでしょうか。

「あ、やっぱり、いいわ。」

そう言って電話は切れ、その後、彼はふたたび音信不通となりました。



助けてあげられませんでした。



あのとき名義を貸してあげればよかったのかな、と思います。



ところがもし支払いが滞ったとき、料金のすべては私にのしかかってきます。
しかもトランクルームの中の家財道具は彼のもの。
捨てるわけにはいきません。



いま、彼はどこで生きているのでしょうか。


いまでも心がチクッと痛む、そんな思い出です。




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http://www.totteoki.jp/negoto/negoto2007su.htm#20070611


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汗、かけるよ。 2007年
5月 24日(木)




渋谷で、宅配便の集配センターの前を通ったときのことです。





「お、この中けっこう暑くなるね。」

「けっこう 汗、かけるよ。」

こんな会話だったでしょうか。
男性二人の声が聞こえてきました。






見ると、アルミシートの保温バッグのなかに
男性がひとり入って遊んでいます。


この保温バッグは、食料品などのクール便を入れるもの。



その中に入って、「汗、かけるよ。」ですか…。





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http://www.totteoki.jp/negoto/negoto2007su.htm#20070524a


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