「虚偽のメモ」で記者解雇 誤った記事、本紙が掲載-社会

朝日新聞記者が総選挙に絡んで取材をせずに虚偽のメモを作成して
報告し、その内容を含んだ誤った記事が掲載されていた。
朝日新聞社は29日、取材先や読者の信頼を著しく傷つけたとして、
この記者を懲戒解雇にするとともに、東京本社編集局長を更迭するなど
編集幹部も処分した。

懲戒解雇処分にしたのは長野総局の西山卓記者(28)。取材報道の
責任を問い、東京本社の木村伊量・編集局長と金本裕司・長野総局長を
減給、更迭。持田周三・政治部長と脇阪嘉明・地域報道部長をそれぞれ
譴責(けんせき)、曽我豪・政治部次長を戒告処分とした。さらに編集
全体の責任を問い吉田慎一・常務取締役編集担当を役員報酬減額
(10%、3カ月)処分とした。

社内調査によると、問題の記事は、8月21日付朝刊2面に
掲載された「郵政反対派 『第2新党』が浮上」と、22日付朝刊3面に
掲載の「追跡 政界流動『郵政だけでは勝てぬ』」。
 一連の記事では亀井静香・元自民党政調会長らによる新党設立の
動きに絡み、田中康夫長野県知事が「新党日本」の党首に就任するまでの
経緯などを紹介した。西山記者は20日、実際にはこの件について
田中知事に直接取材していないにもかかわらず、取材したと総局長に
虚偽報告。会談場所については推測で「長野県内」であるとメモを作り、
亀井氏との会談での田中知事の発言はこれまでの知事の記者会見での
発言などから引用して、勝手に作った発言をメモに記載して政治部の
担当記者に渡した。
田中知事からの指摘を受けて社内調査を進めていた。

 吉田慎一・朝日新聞社常務取締役(編集担当)の話 実際の取材を
せずに、あたかも取材をしたかのような報告メモをつくり、それが
記事になるという、朝日新聞の信頼を揺るがす極めて深刻な事態が
起きてしまいました。記者倫理に反する、決してあってはならないことで
あり、責任を重く受け止めています。田中康夫・長野県知事や亀井静香・
元自民党政調会長ら関係者と読者のみなさんに深くおわび致します。
こうしたことを二度と繰り返さないために特別チームを社内に立ち上げ、
社を挙げて取材・報道の心構えや記者倫理のあり方を抜本的に再点検し、
傷ついた信頼の回復のため具体策を早急にまとめて公表します。

〈おわび〉21日付朝刊2面の「郵政反対派 『第2新党』が浮上」と、
22日付朝刊3面「追跡 政界流動『郵政だけでは勝てぬ』」の記事の
一部が、虚偽情報の報告に基づいて作成されていました。関係者、
読者の皆様にご迷惑をおかけしたことをおわびするとともに、一連の
記事で計5カ所、22日付朝刊は見出しも削除します。

 削除するのは次の通りです。
 21日付朝刊の記事では、亀井静香・元自民党政調会長と田中康夫
知事の会談場所を「長野県内」とした部分。
 22日付朝刊の記事では、(1)亀井元政調会長と田中知事が会った
場所を長野県とした部分(2)会談で田中知事が亀井氏に反論したと
された場面「田中氏はうなずかず、こう反論した。『亀井さんも、
いろいろ大変かもしれないけど、郵便局を守れっていうだけでは選挙に
負けますよ。サラリーマン増税反対とか、もっと言うことがあるでしょう』」
(3)2人の会談を長野会談とした部分(4)田中知事が20日に
「民主党だけでなくいろいろな政党に友人がいる」と周囲に漏らしていた
――との4カ所です。

<<朝日新聞社asahi.com 2005年08月29日22時46分 より引用>>