本社前社長の箱島新聞協会長が辞任へ 虚偽メモ問題陳謝

 日本新聞協会会長の箱島信一・朝日新聞社取締役相談役(前社長)は
7日、朝日新聞記者による虚偽のメモにもとづく選挙報道問題について、
「新聞をはじめジャーナリズム全体の信頼と名誉を傷つける不祥事」
だとして陳謝し、協会長を辞任すると表明した。

 辞任は同日開かれた新聞協会の運営委員会と理事会で了承され、
新聞大会が終了する10月下旬にも正式に辞任する。後任人事は未定。
 箱島協会長は理事会後の記者会見で、今回の問題について「偶発的な
こととは思っていない」としたうえで「(組織の)体質的、構造的問題と
とらえていかないと再発防止策も出てこない」と述べた。
 この問題は、亀井静香元自民党政調会長らによる新党設立の動きに絡み、
本社長野総局の記者(28)が、実際は田中康夫長野県知事に直接取材
していないにもかかわらず、亀井氏と田中知事の会談の場所や会談での
田中知事の発言について虚偽のメモを作成。メモに基づく情報が盛り
込まれた記事が掲載された。
 本社は、記者を懲戒解雇としたほか、東京本社編集局長と長野総局長を
減給・更迭処分にするなど編集幹部を処分。社内に「信頼される報道の
ために」委員会を設置し、今回の事件の内部調査を進めるとともに、
取材現場の実態や問題点の点検、記者教育などの見直しを進めている。
 箱島協会長は03年6月に選任され、今年6月に2年の任期で再任
された。協会長辞任に伴って、本社取締役も辞任する。
 《箱島協会長のコメント》朝日新聞社は虚偽のメモによる選挙関連
記事掲載に関して紙面で経緯をご説明しお詫(わ)びしましたが、この
不祥事は新聞をはじめジャーナリズム全体の信頼と名誉を傷つけるもの
であり、深く陳謝します。私はこの事態を重大なものと受け止め、
日本新聞協会会長を辞任することを決意しました。本日の運営委員会
ならびに理事会でその旨を伝え、ご了承をいただきました。新聞界が
多くの課題に取り組んでいる中、任期を全うできず心苦しい限りですが、
私の会長辞任が新聞の信頼回復のため意味ある一歩となることを心から
願っています。
       ◇
 朝日新聞社の秋山耿太郎社長は7日、東京本社で記者会見し、今回の
虚偽メモ問題について、「朝日新聞のみならず、新聞全体に対する信頼を
傷つける結果になった」と陳謝したうえで、「『解体的な出直し』に
不退転の決意で臨む」と述べた。
 秋山社長は、「創刊126年を数える朝日新聞は今、不祥事が続発する
という大変な危機にある」「失いかけた信頼を取り戻すための最後の
チャンス」などと強調。自らの進退については、「今は大変な危機に
あるので、逃げることなく立て直しに全力投球するのが自分の務めだろう
と判断した」などと述べた。
 また、今回の問題を最初に公表する際、記者会見を開かなかったことに
ついて「メディアとしての説明責任に対する認識の甘さがあった。
私の判断ミス」と述べた。
 また、秋山社長は問題発覚後に社内に設けられた「信頼される報道の
ために」委員会の調査結果を9月中にまとめるとの考えを表明。
「記者教育や会社の風土、制度など根本的な再建策を考える。新聞づくりを
土台から改革していく」と述べた。改革の期間については「半年か1年は
かかると思うが、短期決戦で道筋をつけたい」と話した。


<<朝日新聞社 asahi.com 2005年09月07日21時56分 より引用>>