渋谷とっておき!!ホーム 港区西麻布3-3-1
03-5772-6244

11:30〜13:30
18:00〜21:30 水休

大きな地図で表示



このお店でいちばん感動したのは、オーナーシェフの人柄でした。

食事が終わり、大勢のスタッフに見送られて店をあとにしたときのことです。
目の前の通りを渡り、店の外観をカメラで撮っておかなきゃ、と振り向いたとき
そこにはひとりだけで見送り続けてくれているシェフの姿がありました。

店内にいるときから気づいてはいました。
客を見送ったあと、他のスタッフはすぐに店内に戻って次の仕事に取りかかるのに
オーナーシェフだけがひとり、なかなか戻って来ないことを。

しかし、それが客をずっと見送り続けているためだったとは。

この店はとても小さいながら非常に有名な店です。
名声の通り、その料理にはたくさんの驚きと感動があります。
しかし、それらすべてを可能にするのは、ひとりの料理人の“想い”なのだと
いうことをあらためて知りました。


チーズ風味のシューに
豚バラ肉を入れたもの

にんじんのムース コンソメジュレ
ウニ添え


ウナギとフォアグラのロースト



あいなめのラタトゥイユ仕立て


ブタの大腸に牛の胃などを
刻んで入れたもの

いちごのスープに
グレープフルーツシャーベット



上の写真が7,000円のコースです。

いちばん印象に残ったのは、アミューズに出てきたシュー。
チーズをからめたシューに、豚バラ肉などが刻まれて入っているのですが
ふんわりサクッとした食感とともに、口いっぱいにひろがる温かい肉汁とうま味。
親指と人指し指でできる輪っかくらいの大きさなのに、その存在感は圧倒的でした。

そのほかでは魚料理の「あいなめのラタトゥイユ仕立て」。
カリッと香ばしく焼き上げられたアイナメの味もさることながら、
その下に敷かれたラタトゥイユも甘味と酸味のバランスがよく日本人向き。
「ウナギとフォアグラのロースト」もまた、あらかじめ知らされていなければ
とてもウナギとは気づかないほど洗練されていて、フォアグラとの境界線を
感じさせないくらいに一体化しています

とにかく、随所に日本の素材が織り込まれながらしっかりとしたフランス料理に
昇華されているのが楽しく、ひとつひとつが飽きさせないのです。


この店があるのはテレビ朝日通り。
かつて、テレビ朝日の本社はこの細い通りに面して
あったのですが、建物の老朽化が進んだために
土地を差し出す形で地域再開発に参加しました。
それがいまの六本木ヒルズとなり、テレ朝は敷地の
南東の角に移転する形で新社屋を建設しました。
ですからこの通りはもう、テレ朝とはほとんど関係が
なくなってしまったのですが名前だけが残りました。

そのテレビ朝日通りに六本木通りから歩くこと5分。
ページュ色の壁と鉄の柵に囲まれた小さな庭が
この店の目印です。
小さな庭を通りぬけ、スタッフが開けてくれている扉に
たどり着くまでのほんの数秒間の、何とも言えない
ドキドキ感はいったいどこから来るのでしょうか。
この小さな庭にこそ日常と非日常の境界線があり、
俗世から切り離してくれているような気がします。

この店には2001年春に、家族で訪れています。
当時この店はオープンして間もなく、内蔵料理中心の
店として知られ始めていたころ。この店にしたのは
姉の同僚の“愛してやまない店”という強い推薦でした。
事実、そのときの内蔵料理の素晴らしさは感動もの。
サービスもつかず離れずの距離感が素晴らしく、
また必ず訪れたいと思っていました。

それから4年。
日本でもBSE騒動が起き、内蔵料理というジャンルに
いまも逆風が吹くなかで、この店は多くの人に愛され、
発展を続けてきたのです。

今回訪れて、内蔵料理が少なくなっていたのはやはり
しかたがない気もしますが、それを補って余りあるほど
料理は充実していました。

ただ一方でサービスの質が低下したような気がします。
そのひとつが提供の遅さ。わずか20人ほどで一杯に
なる店に料理人が4人いるのですが、私たちだけで
なく、周囲の客すべてが料理の待ち時間を持て余して
いる状態。パンだけはちょっとずつ出てくるのですが、
たぶんサービスのスタッフがそれぞれの客の食べる
ペースを的確に把握してないのではないでしょうか。

また、デザートで私たちは「ビワのコンポート」をぜひ
食べたいと思い、コースの途中でソムリエの女性に
「デザートの予約できますか?」と尋ねてみました。
すると彼女は「数はたくさんありますから大丈夫です」
と、ひとこと。
しかしわずかその15分後、同じソムリエの女性は
デザートの注文を聞きに来てこう言ったのです。
「ビワはひとつしかないんですけど」。
さっき、たくさんあるから大丈夫、と言った本人です。
すみませんとか、申し訳ありません、のひと言もなく。


料理は間違いなく素晴らしいものです。
その揺るぎない味と、独創性は疑うべくもありません。

そしてあの、最後までひとりで客を見送り続けるシェフ・
菊地美升さんの“想い”にも激しく感動しただけに、
サービスという、ほんのわずかな部分がずごく残念に
思えてならないのです。




店の前の小さな庭が
日常と非日常の境界線を形作る

小さな店だが、隅々にも心が配られた内装

以下の写真は5,500円コース


金目鯛のポアレ鶏ガラスープ仕立て


鴨のロースト


びわのコンポートと
ヨーグルトアイス


5,500円 7,000円 10,000円のコース
ほかアラカルト多数あり

【ランチ】 2,500円 4,500円


このページのURL:
http://www.totteoki.jp/shibuya/lebourguignon.htm


2005・5