渋谷とっておき!!ホーム 品川区北品川1-8-14
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11:00〜14:30
(土祝 9:00〜)
17:30〜20:00
(夜営業は水木金のみ)
日・第二月休

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【下のほうに2007年12月の追記があります】

私が広島にいたころのことです。
豊平という山奥の町のさらに山奥に、日本有数の蕎麦職人が移住してきました。

その蕎麦職人の名は、高橋邦弘さん。

一時はほとんど消えかかっていた手打ちの技を再興した片倉康雄氏の元で修行した
高橋さんは、まず目白で「翁」を開店し高い評価を得ます。

その後、山梨に店を移転、わざわざ彼の蕎麦を食べるためだけに東京からたくさんの客が
押し寄せて来て行列をなすという、伝説の蕎麦職人でした。

その彼が、ひょんなことから広島の山奥に移住、
店名を「達磨」に変えて土日を中心に営業する
ようになったのが3年前のこと。

高橋さんが移住した理由は「水がいいから」でした。

豊平から広島市へ流れる太田川水系の水は
ミネラル分がほとんどない超軟水。これが
広島の酒を甘くしている原因でもあるのですが、
高橋さんに言わせるとこの水こそが蕎麦を打つ
には最適とのこと。

この水を使い、伝統の二八で打った彼の蕎麦は
ほんとうに喉ごしが良く、しかも香りも高いもの。
広島市から高速を飛ばしても1時間半以上かかる
道のりをわざわざ通う価値のあるものでした。


さて、前置きが長くなってしまいました。

この「しながわ翁」は、その高橋邦弘さんのもとで
修行した高野幸久さんが開いた店。
高橋さんの弟子が開いた店はいくつもありますが、
この店は伝説の店・「翁」を名乗るだけあって、
高橋さんの蕎麦の味にかなり近いものを出します。

とにかくうまいのは、ざる。

冬を越し、さらに梅雨を越したいまの季節ですから
蕎麦の香りこそ強くはないものの、しっかりとした
切り口の蕎麦の喉ごしはやはり「翁」のものです。

蕎麦つゆは、醤油と鰹だしのカッチリとした辛口の
ものでありながら、ほのかな甘味を感じるもの。
師匠・高橋さんの蕎麦つゆが、口にした瞬間に
鰹節の赤い部分が目の前に浮かぶような、鮮烈で
まったく雑味のないものだったのに対し、いくぶん
ソフトな印象です。

ごく薄く切って水にさらし、きっちり水を切ったネギ。
よいおろし金を使って水分少なめにおろされた大根。
薬味ひとつにも手抜きがなく、「しながわ翁」の名に
恥じない、素晴らしい蕎麦と言えるでしょう。
私がこれまで食べたなかでは、東京で一番うまい
蕎麦です。

そのほか、冷たい蕎麦では「田舎」という、蕎麦の実の
外側の黒い部分も使って打ったものもありますが、
こちらは出雲蕎麦のようなねっとりとした歯触り。
好みもありますが、あえてこの店で「ざる」の代わりに
食べるほどのものではない気がします。
【追記】その後、あらためて食べてみると、ねっとりとした
食感が少し減り、味も香りも非常によくなっていました。(2006・5)


一方で、「鴨ざる」はおすすめです。
温かいつけ汁に、鴨肉とネギが入っているのですが、
ネギの焼き具合にも心が配られていて香ばしく、
カモも脂っぽさのないひきしまったもの。
「ざる」を堪能したあとの、二回目にぜひ、といった
感じです。

さらに、玉子焼きもまた、硬めのだしが出しゃばらず、
かちっとした味のもの。焼き加減もふわっとやわらかく、
丁寧な仕事ぶりがうかがえる一品です。

とにかく、高橋邦弘さんの技をしっかりと受け継いだ
最高水準の蕎麦を、手頃な値段で提供してくれる店。

しかも、「もりそば」しかなくなってしまった「達磨」
違って、この店には温かい蕎麦も酒もつまみも揃って
います。

もしあなたが無類の蕎麦好きで、うまい蕎麦のため
ならどんな場所にでも行くという人だったとしても、
広島の山奥までわざわざ“巡礼”に行くまえに、
まずはここでじっくり「翁」の蕎麦の奥深さを味わって
みてください。


京急・北品川駅から近いのだが
ともすると見落としてしまいそうな外観



ざる 細身の白い麺
弾力が「達磨」よりもある



田舎 黒っぽいの太めの麺で
ねっとりとした歯触り


鴨ざるのつけ汁に入っている
ネギの焼き具合ひとつも完璧


だしが出しゃばらず
かっちりとした味の玉子焼き



冬季限定のきのこそば




【追記】

最近になって、そばつゆの味を変えました。

これまで鰹を効かせた辛めのつゆだったものが、
椎茸の風味が入った柔らかいものに変わりました。

ふくよかさと甘さが加わり、蕎麦のほのかな甘味を
引き立てるようになってさらにおいしくなった気が
します。もちろん好き好きがあるでしょうが。

また、蕎麦自体もより磨きがかかった気がします。
弾力が強くなり、歯を一瞬押し戻すかのような弾性を
感じます。蕎麦そのものの味、とくに甘味がより強く
感じられるようになり、師匠・高橋邦弘さんの蕎麦に
対してほとんど遜色を感じませんでした。

2007年6月から人手不足を理由に夜間の営業を廃止
するなど、どうしたのかな、と思うことがありましたが
その分、蕎麦打ちの技をを極めていたのでしょう。

一層の高みを極めた蕎麦。
ぜひ一度試してみてください。



お店の公式ウェブサイトができました。




蕎麦そのものにも磨きがかかった



もりそば ざる 700円 もりそば 田舎 700円 おろしそば(辛味大根) 950円
鴨ざる 1200円 鴨南蛮そば 1300円 日本酒 700円〜 ビール(エビス中)550円
焼きみそ 300円 わさびの醤油漬け 300円 そばがき 600円 玉子焼き 650円


このページのURL:
http://www.totteoki.jp/shibuya/okina.htm


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